ぼじゅー
鈴木隆芳(すずきたかよし)です.
さて,フランス語,
L'homme est un animal.
をどう訳しましょうか?
単語ごとに見ていくと
L'homme(ロム)は,「人」「男性」.
est(エ)は英語のbe動詞で,A=B(AはBだぜ!)
という時の「=」.
un animal(アン アニマル)は「動物」.
だとすれば,訳は,
「人間は動物だぜ!」ということになりそうですが,
でも,これじゃつまらないんです.
この文が何を言おうとしているのか,いまひとつ
わからない。
hommeには,英語のmanと同じように「男」(オト
コ)という意味もあるし,animalも,単なる動物では
なくて,もっとケモノ的な感じもあるから,こんな訳
もありえます.
「オトコって,獣(けだもの)ねっ!」(by 女子一般)
うん.ありえるありえる.
さらに,このケダモノに相当するような日本語ないかなー
と考えれば,
「オトコはオオカミなのよ」(by ピンクレディー)
と,往年の流行歌の歌い出しになります.
さて,話題かわりまして,
ブラック企業とよく言われる昨今.
ブラック企業って,どんな会社かと言えば,皆さんもご存知
の通り,長時間働かせて,残業代なしで,ノルマがきつくて,
みたいなイメージだと思うのですが,こういう状態を,経済
学の文脈では,搾取(さくしゅ)という語彙で表現してきま
した.つまり,ブラック企業とは,労働者を搾取する企業で
ある,ということね.
搾取された労働者は,大酒をくらったり,妻にぐちったり,
ギャンブルにのめりこんだり,さらにひどくなると,心身と
もに深刻なダメージを負います.
これはこれで深刻な問題なのですが,
でも,搾取されるのは,人だけではないはずです.
というのも,長時間働くってことは,それだけ(余分に)モノ
を作るってことだから,そのための資材や原料も,それだけ
(余分に)使われることになります.
原料にもいろいろありますが,どれも最終的には自然に由来す
るものだから,搾取の連鎖は,地球的な環境にも悪影響を及ぼ
します.
そこでは動物も例外ではありません.
そうした連鎖は、家畜として消費される動物だけではなく,ペッ
トのような愛玩動物までもを過剰な欲望の対象にするのです。
ですから,動物について考えることは,社会や経済について考え
ることなのです.
さて本題.
9月22日に,本学で「犬と猫と人間と」(飯田基晴監督)の上映会
があります.わたしたちの社会のあり方と,動物の問題を扱った映
像作品です.本村光江先生のゼミでは,アニマルウェルフェアの研
究しているのですが,そうした活動の一環として,ゼミ生が中心に
なって行う企画です.是非,お越し下さい.私も行きます.
日時:9月22日(月)
受付開始:14:30より
上映:15:00-17:00
トークセッション:17:15-18:45(杉本彩氏(あの杉本彩さんです)と細川敦史氏)
定員:映画150名、トークセッション(400名)申込不要・先着順
(状況によりご入場頂けない場合があります.)
会場:大阪経済大学大隅キャンパスD館1階 D10教室
料金:無料
問合せ:本村ゼミ 大阪経済大学地域活性化支援センター 06(6328)2431(代)
注:冒頭のエピソードは、加賀野井秀一『オール リーブル』(朝日出版)に着想を得ています。
ぼじゅー
鈴木隆芳(すずきたかよし)です。
7月12日(土)にグランフロント大阪紀伊國屋書店にて公開ゼミをしました。
その模様をお送りします。
グランフロント大阪南館6階の紀伊國屋書店!
フロアーも広く、ゆったりとした空間、スターバックスも入っていて、従来の
本屋さんのイメージとはちがいます。その一角にあるイベントスペース。
そこに一般の来場者をお招きしての公開ゼミです。
手前にある円テーブルの上には、ゼミで使用している教科書と関連書籍が並ん
でいます。お手にとってご覧下さい。以下に書籍のリストがあります。
http://www.kinokuniya.co.jp/c/store/Grand-Front-Osaka-Store/20140703175050.html
今回のテーマは、「グローバル化してはいけないもの」です。
ご時世にちょっとだけ逆らって、グローバル化がもたらす弊害について考えてみ
ましょう。
はじめのグループの題目は、
「授かるものと買うもの―———交換様式からみた教育」
鈴木ゼミお馴染み(?)の3種の交換様式(互酬・再分配・商品取引)を概説した後、
教育が商品取引されるとどんな困ったことになるかを分析します。
ゼミで教科書として使用している柄谷行人氏の『世界共和国へ』で示される交換様式
の考え方を応用しつつ考察を進めます。
教育の動機付けでは、金銭的な報酬が功を奏さないことが多くあります。
「学び」とは「買うもの」(商品取引)ではなく「授かるもの」(互酬)だからです。
次のグループは、「昼の言葉と夜の言葉————コミュニケーションと個性」
コミュニケーションでは、わかりやすいことは良いことなのですが、その反面、そう
した表現は印象に残らず、すぐに忘れられてしまうのはなぜでしょう。
簡潔性や迅速性などを謳ったグローバル・スタンダードなコミュニケーションが幅を
利かせる中で、人の「個性」はどうなってしまうのか、そんなことを考えます。
一方、詩歌や小説などの文学的な言葉は、「わかりにくさ」や不透明性を重んじます。
結果、受け手の解釈も一人ひとりちがったものになります。
完全な正解もないけど、完全な誤解もない世界です。
それぞれのイメージや解釈が、干渉しつつも共鳴するような感じでしょうか。
こうした「完全には通じないもの」、すなわち、「グローバルではないもの」もコミュ
ニケーションには必要ではありませんか、というお話です。
こうしたテーマについて考えるために、歌人の穂村弘さんや俵万智さんの著書を参照し
つつ、短歌の表現の秘密に迫ります。
発表者の中には、文芸誌「ダ・ヴィンチ」で穂村弘さんが選者をつとめる「短歌くださ
い」のコーナーに自作の短歌が掲載された学生もいます。
最後のグループは、「少子高齢化は暗澹(あんたん)たる未来なのか?」です。
これまでの人類の歴史を振り返ると、政治と経済の近代化、デモクラシーの進展は必ず少
子化(受胎調整)を伴ってきました。
だとすれば、少子化を、一概に悪いものとして、考えることはできないはずです。
こうした見方は、人類学者エマニュエル・トッド氏の著作から学んだものなのですが、
ちょうどこの時、日仏文化サミットのためトッド氏が来日しました。
せっかくですから、運命的なものを感じることにしましょう。
高齢化はどうでしょう。
老化には一般に否定的イメージが付随しますが、しかし、高齢者が示す、ゆったりとした、
こちらが予測できないような反応、つまり、身体反応の遅延と多様化は、実は、単なる身
体的な衰えではなく、より高度に成熟した人間的な反応を示しているのではないか、とい
う問題提起です。
これは、吉本隆明さんの『老いの超え方』や、ベルクソンの『物質と記憶』の一節から着
想を得たものです。
一方で、実際の老化では、身体の衰えから不自由や痛みが生じることも事実です。
ですから、こうした問題についてゼミ生のような若い世代がアプローチすることの難しさも
実感しました。
そして、来場者を交えてのディスカッションです。
「少子化は、それ自体は悪いことではないかもしれませんが、とはいえ、現在の日本のよう
に、出生率の急激な落ち込みは、やはり危惧すべき事態ではありませんか?」という鋭い
ご指摘。
ゼミ生と私で知恵を絞って考えます。
「おっしゃる通り急激な出生率の低下は看過できない問題です。その対処策について考える
ことも、もちろん大切なことです。ですが、一方で、出生率の史的推移を視野におさめれば、
非現実的な対策の危険性を察知することや、性急な判断による過ちを避けることにつながる
はずです」と、お答えしました。
今回は、本屋さんでゼミナールをするという、どうなるかわからない試みでした。
取材に来て下さった朝日新聞の記者さんからは、本屋で大学の授業をやることの意義につい
て訊かれました。
本屋は、未知の本と偶然に出会える場所です。
「あっ、こんな本あったんだー」と、おもいがけない出逢いがあります。
ネット書店のように「あんたはこれが読みたいんだろ!」と、押し付けてくることもありま
せん。
おもいがけない出逢いを通して、一見、関係のなく見えるものが、つながること、これは私
たちのゼミがいつも大切にしていることです。
そんな、ゼミの理念を体現しているのが、本屋さんです。
紀伊國屋のスタッフの方々には、大変にお世話になりました。
おかげさまで貴重な学びの機会を得ることができました。ありがとうございます。
入念に準備をしたつもりでしたが、私たちには至らない点も多くありました。
しっかり反省をしつつ、今後の活動に活かしてゆきたいと思っています。
今回の公開ゼミの企画を、「面白そうだ」と励まして下さった紀伊國屋の才田さんのおかげで、
このイベントは実現できました。改めてお礼を申し上げます。
最後になりましたが、才田さん!
「次回もやりましょう」とおっしゃって下さいましたね。
そのお言葉を信じてこれからも励みます。
また、是非、お願いします!
ぼじゅ♪
鈴木隆芳(すずきたかよし)です。
間際になっての告知、一刻を争う告知、
これすなわち刻知なり。
わおー
2014 年7月12(土)15時より、グランフロント
大阪紀伊國屋書店イベントスペースで、公開
鈴木ゼミをします。学生発表3本と来場者を
交えての質疑応答を行います。
テーマは、「グローバル化してはいけないもの」です!
時流に抗います!
こちらをご覧になると、案内とゼミ生との写真があります。
http://www.kinokuniya.co.jp/c/store/Grand-Front-Osaka-Store/20140703175050.html
以下に学生のグループ発表の要旨をサイトより引用します。
(引用はじめ)
1.授かるものと買うもの―交換様式から見た教育
テレビ、パソコン、冷蔵庫などは、自ら購入しようが、他
人から譲渡されようが、同じように使用することができます。
一方、教育や道徳といったものは、どのように手に入れたか
によって価値が異なってきます。商品取引という考え方がグ
ローバル化する中で、授かるのか、買うのか、すなわち、交
換様式によって質の変わるものについて考察を試みます。
2.昼の言葉と夜の言葉―コミュニケーションと個性
言語はコミュニケーションの道具であると一般には言われま
す。しかし、「わかりやすいこと」をただひたすらに求めると、
「なにも伝わらない」ということが生じます。言語のグローバ
ルな価値と、それを発する人の個性はどのように折り合うので
しょうか。この発表では、詩歌の言葉が放つ不透明性や曖昧さ
が、実は、私たちの社会的な生を支えている、ということを示
したいと思います。
3.少子高齢化は、暗澹たる未来なのか?
歴史を長期的なスパンで展望すると、少子化・識字率の向上・
デモクラシーの進展は、ほぼ例外なく、歩調を合わせて進展し
ています。もしかしたら、少子化は私たち人類が望んでいたこ
となのかもしれません。ですが、現状では、少子化からイメー
ジされるのは、老齢者の溢れる不活性化した社会でしかありま
せん。少子化と高齢化について、多様な角度から検討を行うこ
とで、この発表が、こうした既成概念について考え直す一助に
なれば良いと願っております。
(引用おわり)
七夕パーティで演奏をしました。
恋するフォーチューンクッキーのジャズ風です。
こちらは、もう終わってしまったので、告遅だね。
わおー
こんにちは。経済学部教員の上宮です。
明日,7月5日(土),上宮ゼミがTV出演します。
NHK総合,午前10時50分?12時
『週末応援ナビ☆あほやねん!すきやねん!』
先週火曜日(6月24日)のゼミでロケがおこなわれました。
私もゼミ生も緊張でガチガチ,カミカミですが,頑張りました。
また,私が顧問(部長)を務める自転車部サイクルサッカー班も登場します。
近畿エリアのみの放送ですが,もしご都合よろしければ是非ご視聴ください。
どうぞよろしくお願いいたします。
大阪経済大学 経済学部教員 上宮智之
(披露宴スピーチなう)
「新郎、新婦が出逢ったのは、大学
のテニスサークルで……
(かなり中略)
これからは、お二人が、人生という
ステージでダブルスを組んでいくの
です。(拍手)」
ちょっとベタすぎますけど。
ボジュー♪ 鈴木隆芳(すずきたかよし)です。
夫婦が出会ったきっかけで、最も多
いのが友人や兄弟姉妹を通じての
出会い(29.7%)なのだそうです。こ
れって、「ねえ、◯○ちゃん、いい人
いるから会ってみない?どう?」って
紹介されるのだから、ちょっとカジュ
アルなお見合いなのかもしれない。
それと同じくらい多いのが職場や仕
事での出会い(29.3%)です。
職場や仕事で出会うということは、相
手と同じ環境を共有しているので、も
のの見方や考え方が似てくるはずです。
似ているといっても……
「オレ、エビの尻尾、食べない人だから」
「あっ、ワタシも!」
「♥!」
「♥!」
「結婚して下さい!」
「はい、喜んで!」
……のようなことではなく、職業や学
歴など、もっと現実的なことです。
いわゆる結婚についての価値観ね。
あくまでもイメージだけど、高収入の
仕事というと医師や弁護士。
職場や仕事での出会いが多く、そこ
での価値観に重きを置くとすると、こ
うした高収入の男女どうしで結婚する
可能性も高まるはずです。
また、それとちょうど反対のことも言え
ます。
低収入者どうしのカップル。
このような結婚が増えれば、結婚は収
入格差を拡大します。
「夫の収入が高ければ妻は働かない」
という例が減ってきているからです。
そこでは、高収入どうしの夫婦、低収入
どうしの夫婦と二極化してしまい、これ
が社会の階層化を招くかもしれないの
です。そして、本当の問題は、こうした
格差は、再生産、つまりは子の世代に
繰り返される、ということなのです。
それは、両親が供する教育の機会や
質が、そのまま後の世代に引き継が
れるということです。
「え?それでなにか問題ありますか?」
という意見もありますが、こうした、子供
本人の原因に帰することのできないス
タート地点での不平等による社会の階
層化は、やはり困った問題だと思います。
というのも、格差とは、単に収入のちが
いのことではなく、考え方やものの見方
のちがいを意味するからです。
格差が広がったために、異なった階層の
人どうしでは「話しが通じない」というのは、
社会にとって好ましいはずはありません。
そもそも、結婚できるかどうかについても、
事態はかなり深刻です。
男性の約5人に1人は生涯未婚です。
男性の場合、年収300万未満の場合、「恋
人なし」「交際経験なし」が、65.9%にも上り
ます。
一方で、300万以上だと、年収と、恋愛や結
婚の間には顕著な関係はありません。
つまり、男性が交際や結婚にいたるための
ボーダーラインは年収300万。
そこから単純に解決策を導くとすれば、男
は稼ぐべし、ということになります。
女性の93.9%は、男性の経済力を「重視す
る」ないしは「考慮する」と回答していますし、
ひとまずは、この収入面から考えてみること
にしましょう。
「ひとまずは」ですけど。
では、300万のボーダーラインをクリアする
にはどうしたら良いでしょう?
二つの方法があります。
1.そういう社会(300万以上稼げる社会)を作る。
2.そういう人(300万以上稼げる人)になる。
なーんだそんなことか、と思うでしょ、
でも、これが意外と厄介な問題だった
りするのです。
まず、1からいきますと、皆が、ある程
度稼げるようになるためには、全体的
な賃金のアップが必要です。
でも、これがなかなか実現しない。最大
の原因は、賃金が上がると人件費が高
くなり、それが商品の価格に反映して売
れなくなり、結果、企業の競争力が落ちる、
と考える経営者が多くいるからです。
「皆さんの要求をのんで、賃金を上げて、
会社が倒産したらどうしてくれますか?」
と、詰め寄られると、気勢をそがれること
でしょう。
また、ほとんどの人は、労働者であると
同時に、消費者としても社会に関わります。
この二つの立場が、相反する欲求を生み出
します。安い商品と高い賃金を同時に欲す
るのです。
さらに、ほとんどの人にとっては、労働者と
して関わる社会よりも、消費者として関わる
社会の方が、はるかに広いのです。
そこから、徹底して安い商品を求め、それを
作るために働く人のことなどお構いなし、と
いう消費者マインド優先の社会ができあが
ります。
しかも、これは消費者としては咎められるこ
とのない「正しい」振舞いなのです。
安い商品と高い賃金、もしこれが難なく
共存するなら、それは、そうとう恵まれた
社会でしょう。
賃金を上げるために働きかけることの難
しさの原因をたどっていくと、労働者VS
消費者という、分裂し、矛盾した欲求に
行き当たります。
100円ハンバーガーと、時給1000円を同
時に実現するのはむずかしいのです。
では、次に2の「本人が努力する」は、ど
うかというと。
こちらも、一見、簡単なように見えるけど、
実は、そう一筋縄ではいかない。
ここでも、矛盾した欲求に私たちは引き裂
かれます。しかも、これは本人とって、さら
に自覚しにくい。「結婚を望みながら結婚
を望まない」ということを私たちは知らず
知らずのうちにしている可能性があります。
次回はそんな話しを。
今回の参考図書:橘木俊詔・迫田さやか著
『夫婦格差社会――二極化する結婚の
かたち』中公新書、2012年。
本文中での数値等は本書を参照しました。
結婚に焦点を絞り、経済学の観点から論じ
ている本です。シビアな現状分析と、ハート
フルな激励に著者の誠意を感じます。きっと、
そこに読者は惹かれるのだと思います。結
婚したい人は読んでね。あと、著者の橘木
先生、迫田さんのお二人ともフランスがお好き
だと聞き及んでおります。トレ・ビアン!です。
ついでですが、
『夫婦格差社会』については、私が書いた
書評があります。
いつでも、だれでも、何度でも、無料でダウ
ンロードできます。
http://www.osaka-ue.ac.jp/keidaigakkai/journal/64_1/
画面の中程、書評の欄をクリックするとご覧になれます。