クイズ! 次の短歌Aと短歌Bでは、どちらが良い歌でしょうか?


A 空き巣でも入ったのかと思うほどわたしの部屋はそういう状態
B 空き巣でも入ったのかと思うほどわたしの部屋は散らかっている
(穂村弘さんの『はじめての短歌』を参照しています。)

 

鈴木です さりゅー

文章の書き方を指導をされたことってあるでしょ。
そんな時、先生に「もっと簡潔に」とか「もっとわかりやすく」とか言われませんでしたか。
たしかに、そうした簡潔で平明、かつビジネスライクな作文が求められる場面は少なくありません。
連絡のメールもしかり、集合の場所や時間などの用件が正確に伝われば事足りる。
休講の掲示もそうだね。何曜日何限が休講ってわかれば、ラッキーってなるし?!

でもね、そうではない世界があるんです。わかりやすくちゃだめな世界が。

 

冒頭の短歌のクイズ、正解はAです。Aの方が良い短歌。
Aの短歌「そういう状態」と言われるといろいろ想像が広がるけど、一方で、

Bの短歌「散らかっている」にはそんな余地がない。

「散らかっている」と言われれば「ああそうですか」と納得して終わり。

このAの短歌を作った平岡あみさんは当時中学生くらいだったそうです。

たしかに、「そういう状態」ってどんな状態なのかすごく気になりませんか?
なにかただならぬことが起こっている感じ。

 

でも、これって、ビジネス文書や実用書のお手本にかなり逆らってますよね。

一番肝心なところが「そういう状態」、つまりXのままなんだから。

詩歌の価値が、モノの交換を扱う経済の価値と異なるのはこの点です。

経済上のコミュニケーションの利点は、なんと言っても、

価値が貨幣というグローバルな交換価値に還元されること。

要するにHow much is this?というコミュニケーションのスタイルで、

国境を超えてだれとでも通じ合える。

どんな得体の知れないものでも、その値段がわかるとちょっとほっとするでしょ。

その一方で、私たちはこうしたグローバルな価値の世界とは別の

もうひとつの価値の世界にも属しています。

その世界とは、交換可能な価値に還元できない価値の世界。
唯一無二の価値の世界。

 

会社では課長の代理は必要。課長は同じ内容の仕事ができる人がいれば代わってもらえる。

でも、その人が帰宅してお父さんになると、お父さんに代わりはいない。
それに、お父さん代理がいつも控えている家庭なんて困るでしょ。
同じ人物が、ある時は課長で、ある時は父親というように二重の生を生きている。

 

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「ぼくにとって、きみはこの世界でたったひとりの男の子になるよ。
きみにはぼくが世界でたった一匹のキツネになるんだね。」
(サン=テグジュペリ『星の王子さま』より)

 

交換できる世界と交換できない世界、というように二重の世界が交錯している。

労働・生産・消費などは前者の交換できる価値をやり取りする世界。
交換できるからこそ価値が生まれる世界。こちらも生きていくのには不可欠。

 

その一方で、詩歌は交換できない価値を扱う世界。
他のもので置き換えることのできない唯一無二の意味や価値を重んじる世界。
その証拠として「××は○○を意味しています!」などと明言せずに、

肝心なことをXにしたまま読み手に差し出した方が良い歌になります。

ためしに下の二首でどこがそのXに相当するかわかりますか?

 

たちまちに君の姿を霧とざし或る楽章をわれは思ひき     近藤芳美
貪欲な兎をゲージに飼っておくそういう罪を毎日犯す     鈴木晴香

 

恋人の姿が霧に隠れた時、ふと聞こえてきた「或(あ)る楽章」って、

いったいどんなメロディーなの? それってだれのなんていう曲?

 

「貪欲な兎(うさぎ)」っていうけど、それってどんな兎?
その兎をおりに閉じ込めて飼うことって、いけないことなの? 
もしかしたら逮捕されちゃう?

 

とか、具体的にはわからないまま。

でも、そこがいいんです。いろいろ想像できちゃうし。
それに、この場合の想像って、でたらめな妄想とはちがって、ある程度は共有したり共感できる要素がありませんか? 
「あーあのことじゃないかな」と思い当たる。

こうした詩歌の価値について歌人の穂村弘さんが書いた本、『はじめての短歌』。

 

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鈴木ゼミの教科書の一冊。
短歌の入門書という形をとっていますが、あまりそんな感じはしません。
むしろコミュニケーションに悩んでいる人におすすめします。

コミュニケーション用の「伝わる言葉」と、詩歌の「印象に残る言葉」、

この二つの言葉の世界ってどうなっているの?ということがわかります。
ここぞという時に人に差をつけたい時のマニュアルです。意外なほど用途は広いね。
本書の書評を書きました。以下からダウンロードできます。こちらも是非。


鈴木隆芳書評、穂村弘『はじめての短歌』in「大阪経大論集」第68巻1号

鈴木隆芳
経済学部 経済学科
さりゅー 鈴木です。
私の住んでいるパリ14区。
いわゆるおしゃれなパリからは少し離れた庶民的な地区です。
 
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写真に撮るとそれなりに絵になるけど、普通のパリの町並みです。
それでも、あえて特徴をあげるとすれば、小売店から成る商店街が元気なことです。
 
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肉屋
フォアグラも日本に比べられたら驚くほど安い。
ソテーしてパンに挟んで豪快に食すもよし。
パテをアテにグラスを傾けるもよし。
 
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果物屋
なぜここにアスパラガス?! ややカオスな陳列ですが商品は充実しています。
スイカはフランス語でパステック!
勢い良く切るとそんな音が聞こえそうです。
 
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チーズ屋
本日のおすすめが看板に書かれています。
4品目の中にはイタリアやギリシアのチーズもあります。
こうしたチーズ屋では量り売りが基本です。
「少しでいいから」って言うのに、いつも大きく切ってくれちゃいます。
 
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行列のできるパン屋さん。
行列の理由は、パンが美味しいからと、お会計の作業がスローだから。
バゲット(フランスパンね)が1ユーロ(約124円)。
 
そして、こうした商店街の中にスーパーマーケットもあります。
 
 
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モノプリという大手チェーンのスーパー。
スーパーですから、もちろんここには肉も果物もチーズもパンも売っています。
それでも小売店にはお客が絶えません。
 
この界隈がことさら特別というわけではなく、こうした商店街がパリには多くあります。
場所によっては、マルシェ(市場)が出たり。
 
大手資本のスーパーと小売店が共存できているのには、さまざまな事情があるのでしょうが、
まあ、これもパリの魅力のひとつです。
 
あろー あびあんとー
鈴木隆芳
経済学部 経済学科
ぼじゅ
鈴木です。
フランスでは5月1日にスズランmuguetを贈る習慣があり、町のあちこちでスズランを売る人を見かけます。
 
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5月1日はまたメーデーでもあり、労働者が自らの権利を訴え、連帯を呼びかける日です。
 
それと前後して、フランスでは4月23日に大統領選挙の第1回投票が行われ、
マクロン氏とルペン氏が5月7日の決選投票に進むことになりました。
そして5月8日には両氏による決戦投票が行われ、マクロン氏が大統領に選出されました。
得票率は第1回投票ではマクロン氏23.75%、2位ルペン氏21.53%、
第2回投票ではマクロン氏66.08%、ルペン氏が33.94%。
 
予想どおりマクロン氏が勝ったとはいえ、極右政党である国民戦線のルペン氏が、
なぜ他にも有力な候補がいる中でこれだけの票を得たのかは少し考えてみる必要がありそうです。
 
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「ユーロは死んだ」顔写真横の発言
 
この新聞を読む限り、ルペン氏の経済政策上の主張はユーロからの離脱ではなく、
欧州中央銀行に対してのフランス政府の権限の拡大にあるようです。
氏が敵対視しているのは猛寧なグローバリゼーションmondialisation sauvageなのです。
 
昨年6月に英国ではユーロからの離脱Brexitが可決されました。
また、米国では移民に対してトランプ大統領が否定的な発言を繰り返してきました。
 
グローバリゼーションを下支えしてきたのは、国境を超えた通貨や労働力の流動性ですが、
今、こうした流れに変化が起きています。
 
1980年代のサッチャー政権やレーガン政権が推奨した自由主義経済は、
市場原理を優先する一方で、社会保障費を削減してきました。
税金を安くして、医療費や保健などの分野で個人の裁量の域を拡大したのですね。
そこで実現したのが「小さな政府」。
法人税も安くなるので、企業活動にとっては都合の良い事態です。
法人税の安い国の企業と、法人税の高い国の企業が競合した場合、当然前者が有利ですから。
したがって、政府は自国の企業の国際競争力を高めるために「減税競争」をするはめになりました。
税率が下がれば、貧富の格差の拡大が生じます。
税金で持っていかれる額が少ないほど、手もとに多くのお金が残りますね。
格差じたいが良いのか悪いかは判断の分かれることですが、国への税収が減ることで
社会保障などの再分配に回る予算も減るとすれば、下位の階層に属する人にとっては、
よりシビアな社会になります。
富むものだけが質の良い教育や充実した医療を享受できる社会。
 
『21世紀の資本』の著者トマ・ピケティはこうした事態を危惧しつつ、
富裕層の資本の実態を明らかにすることで、課税による再分配を促すべきだと主張しています。
 
また人口学者エマニュエル・トッドは、英国のEU離脱、フランスでの国民戦線の支持拡大、
米国のトランプ政権は、国家(ネイション)が役割を回復しようとする中で起きた
一連の動きであると言っています。
トランプの大統領のかつての対立陣営のバーニー・サンダースが主張していたことも、
表面上は対立しているかのように見えて、実際は社会保障という国家機能の回復であると。
こうした動きは、グローバリゼーションに傾倒しすぎた社会に対しての反発であると言えそうです。
 
グローバリゼーションが目指す市場経済と、国家が担う再分配は
バランスを取りながら社会を形成してきたことは確かです。
その一方だけに過度に傾倒すとどんな困った問題が生じるかについても様々な教訓があります。
 
したがって、各所に見られるグローバリゼーションに待ったをかける動きを
反時代的なものや退行的なものと一概に決めつけるのは早計なようです。
 
こうしたテーマを扱った
エマニュエル・トッド『問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論』堀茂樹訳(2016年)
の書評を書きました。
無料で何度でもダウンロードできます。よかったら読んで下さい。
 
鈴木隆芳
経済学部 経済学科
ぼじゅー
鈴木です。
フランス中部ロワール河流域のトゥールTours市から電車で1時間弱、シノンChinonの町を訪れました。
 
ここシノンには、かつて英仏百年戦争の頃、ジャンヌ・ダルクが後のフランス王になる
王太子シャルル7世に謁見したエピソードで有名なシノン城があります。
城とはいっても、どちらかというと砦や要塞に近い外観で、観光ガイドにも
「要塞」forteresseと表記がありました。
 
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歴史を感じますね。
古城感が本気です。
 
このお城の前に、もうひとつシャトー(≒城)を訪れたのですが、
こちらはシャトー・ド・ラ・グリーユChâteau de la Grilleというブドウ畑を所有するシャトー。
 
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こちらではブドウ畑と醸造設備を見せてもらいました。
畑を歩きながら生産者のカトリーヌさんから説明をうかがいます。
この日は他に訪問者もなく私たちだけのためのレクチャーです。
 
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太い台木から細い枝が1本出ているのがわかりますか?
もう芽が出ていますね。
 
それにしても、なんでこんな慎ましい感じの枝なのかと思いませんか。
もっとたくさん枝を生やした方が収穫量も上がるのに、って。
 
栽培や醸造方法については細かい規定があって、ここでも政令によって
枝1本あたりの芽の数の上限が決まっています。
ブドウは剪定(せんてい)を施して、生育を管理すると実の質が良くなるからなんですね。
 
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ブドウの病害虫の説明。
ブドウにはさまざまな病害虫があって、それらとの戦いにも長い歴史があります。
 
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地下の醸造所での醸造方法についての説明。
政令によって義務づけられていることと、生産者の裁量に任されていることの区分や、
ステンレスタンクと木樽の使用比率など実践的なお話をうかがいました。
 
いろいろと質問しながらお話をうかがっていたところ
「ワインの仕事をしていますか?」とたずねられました。
「光栄です、マダム」
 
最後はカトリーヌさんも一緒に試飲です。
試飲は実際に飲むわけではなく、色、香り、味をチェックした後、吐器に吐きます。
 
醸造方法による出来のちがいが問われます。
それを生産者の目の前で述べるわけですから、なかなか緊張します。
8種をその場で開けてくれました。
実は、私、(一社)日本ソムリエ協会ワイン・エキスパートの資格を持っていまして、
試飲には多少の心得があるのですが、それでも、これほど緊張する試飲はめったにありません。
 
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ここロワール地方では20%前後が輸出されるとあって、シャンパーニュ、ボルドー、
ブルゴーニュといった名だたる銘醸地(めいじょうち)に比べると
国内で消費される比率が多いと言えるでしょう。
とはいえ、おおむねフランスのワインは、早い時期から世界商品として
グローバリゼーションの競合に曝されてきました。
オランダやイギリスといった、その時々で勢力を誇った国を主な輸出国にすることで、
フランスの経済に貢献してきました。
覇権国家とワインの経済史を調べてみるのも面白そうです。
 
フランスワインが高い商品価値を誇るのは、産地ごとの個性を重んじる
政府の方針があるからだと言えるでしょう。
こうした土地が持つ特性を総称してフランス語ではテロワールterroirという語彙で言い表します。
一方で、アメリカやオーストラリアなどの新興国は、主にブドウの品種特性と
近代的な醸造方法や設備でフランスに対抗しました。
現在ではこうした双方の強みをお互いが共有するようになっていますが、
かつて、この二つが対決したことがあります。
「どっちが本当は美味しいのか?」ってなったんですね。
 
フランスワインVSカリフォルニアワイン
アメリカ建国200年を記念して、1976年に対決が実現しました。
さあ結果はいかに......!?
映画にもなっていてDVDがあります。
『ボトル・ドリーム カリフォルニアワインの奇跡』
ネタバレなタイトルで残念!!(笑)
 
父と子の確執と和解、ヒロインとのけんかと仲直り、挫折からの成功など、
映画っぽい脚色が施されていますが、それでも「頑張れー」と応援したい気持ちになります。
こちらは、前回『ラマン/愛人』とちがって、だれと観ても安心。
鈴木隆芳
経済学部 経済学科
鈴木です。
 
私の住んでいるパリ14区には、モンパルナス墓地という広い墓地があります。
 
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ここモンパルナス墓地には、多くの著名人が埋葬されていて、案内所にはその場所が記された
お墓マップなるものが置かれています。
 
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手前M.D.というイニシャル、こちらは作家や映画監督でもあるマルグリット・デュラス(1914-1996)。
本名もイニシャルにするとDになるようです。
どっちかな?
作家であった彼女には、多くのペンが供えられています。
映画化された『愛人/ラマン』は日本でも話題になりました。
ちゃんとした映画ですが、見るときは一人で見たほうがいいかなー
 
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こちらはセルジュ・ゲンズブール(1928-1991)。
キャベツやメトロのチケット、これらも彼の作品とゆかりがあります。
 
私のやっている「フランス語圏文化論」という授業では、フランスのポップ・ミュージックを
扱うコーナーがあるのですが、そこで私は彼の歌を歌ったことがあります。
ゲンズブールさんは声が低いので、私でも無理なく歌えます。
 
そして、今回はじめて気付いたのが、こちら
 
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ジャンポール・サルトルとシモーヌ・ド・ボーヴォワールのお墓。
墓石のところどころに「赤い何か」が見えませんか?
アップにしてみましょう。
 
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わかりました?
 
・・・・・・キス・マークですね!!
 
実存主義哲学者のサルトルと、『第二の性』のボーヴォワールは、正式な結婚こそしなかったものの、
生涯を通じて二人は寄り添いました。
そんなラブリーなエピソードが偲ばれます。
 
ところで、こうしてお墓を訪ね歩いていると、なにか故人が語りかけてくるような気がしてきます。
「さあ、君はどう生きるの?」ってね。
 
さてさて・・・・・・
 
「まだまだこちらに未練があるので、もうしばらくそちらでお待ち下さい。」
鈴木隆芳
経済学部 経済学科
鈴木です。
 
この棺が作られた当時の社会の様子を想像してみましょう。
 
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(ルーブル美術館にて鈴木撮影)
饗宴の場面、妻と見られる女性は、同様の姿勢で夫に優しく肩を抱かれて表現されています。
寄り添う二人がクッションにしている革袋、これには葡萄酒が入っていました。
きっと二人で分かち合ったのでしょう。
 
夫婦の生をしめくくるにあたって、こうした棺が作られる。
この社会に生きる女性は、地位も高く、きっと大切にされたのでしょう。
この夫婦棺は現在のイタリア半島中部にあたる場所にあった古代エトルリアのものです。
(作品の説明についてはルーヴル美術館のサイトを参照しました。)
 
ところで、だれにでも、たいした根拠もなく「きっとこうだ!」と思い込んでいることがありますよね。
 
あるでしょ。
 
そのひとつが核家族。
昔はおじいちゃん、おばあちゃんも一緒の大家族だったけれども、
今はパパ・ママ・子供だけの核家族が増えましたね、というように。
 
こうした思い込みはなかなか根が深く、西洋発の学問、私の思い当たるところでは経済学や
精神分析学もそうなのですが、昔は大家族で、それが近代になるにつれて核家族へ移行する、
というイメージを抱いていまいた。
 
ところで、なぜ、核家族は近代性と結びついてきたのでしょうか。
 
それは西洋の歴史に原因があります。
かつて18世紀後半に産業革命が起こった頃のイングランドでは核家族が主流でした。
それで核家族こそ、この産業革命をもたらした要因のひとつ、
つまりは時代の先端を行くもの、と思われてきました。
 
そこにとんでもない説が飛び込んできたのが、つい最近。
エマニュエル・トッド氏の家族形態の変遷をめぐる研究。
トッド氏は、1951年生まれ、フランスの歴史人口学者です。
私も取材のお手伝いでパリのご自宅を訪問したり、氏のインタヴューを翻訳したことがあります。
 
彼の説明はこうです。
。。。。。。。。。。。。
 
昔々、ユーラシア全域は核家族に覆われていた。
この頃の核家族は、より大きな住民集団に属してはいても、一定の自主性を維持していて、
父と母と子から成る家族である。
この家族の特徴は、男女の労働の質は異なってはいたものの、
女性の地位がおおむね高かったということ。
 
ところが、ある時、このユーラシアの中心部で、直系家族という新たな家族システムが生じる。
これは一子による遺産の相続を特徴としており、父親の権威が強い家族形態を成す。
祖父母、その長男、その妻、子供からなる家族であり、戦前の日本などのイメージなどが近い。
そして、この直系家族が、やがて周縁部へ向けて伝播する。直系家族は核家族に比べると、
団結力と継承力に勝ることから、戦争や教育では、たとえ一時ではあっても、
核家族を凌駕するケースが多かった。
 
その後、さらにユーラシア中心では、共同体家族という新たな家族システムが生じる。
男兄弟と、そこに嫁いできた妻と子らが集まって暮らす大家族である。
これは現在のイスラム圏や中国の農村部に多く見られ。
この共同体家族も周縁にむけて伝播してゆく。
共同体家族は、さらに大きな家族集団であり、周辺にむけての影響力はより強かったからだ。
 
こうして、三つのタイプの家族、サイズとしては、大きい順に、共同体家族>直系家族>核家族、
これらが同心円状にユーラシア中心から周縁に向けて分布することになった。
 
つまり、後からできた大きい家族ほど、新しいものであって、一番小さい核家族は
最も古い家族形態となる。
 
一方、イギリスやフランスは、ユーラシア大陸の西の果てにあり、
したがって、両国ともこうした家族システムの伝播に曝される度合が少なかった。
家族システムの変化は、住人にとっては戦争状態や社会的混乱として表れ、
技術的な進歩や発展を抑止する。
そうした影響を最小限にとどめられたがゆえに当時のイングランドは
いち早く産業革命を成し遂げることができた。
。。。。。。。。。。。。
 
なるほど、要するに、イギリスは、ユーラシアの中心地から遠くにいたから、
あまり悩まなくって済んだってことね。
 
私のゼミでは、少子化や識字率の問題を考えるにあたって、
折に触れてトッド氏の著書を取り上げてきましたが、
この家族システムの変遷についても考えてみたいと思っています。
家族のつながり、父親の権威、女性の社会的地位、子の自立などについて、
私たちがなんとなくこうだと思い込んできたことが、実は、まちがっていたのではないか、
と気付かせてくれます。
 
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エマニュエル・トッド『家族システムの起源 I ユーラシア 上・下』石崎晴己訳、藤原書店、2016年。
多くの専門家を驚愕させた本ですが、難しくはありません。
だって家族の話しなんですから、だれにも思い当たることがあります。
 
白水社の月刊誌『ふらんす』2017年4月号(3月22日発売)に、本書の書評を書きました。
900頁を超える本の内容をわずか1000文字で紹介。
ピケティの時も大変だったけど、今回もなかなか手強かったなー。
鈴木隆芳
経済学部 経済学科
ぼじゅー 
鈴木です。
 
昨年9月からフランスのパリに来ています。
社会科学高等研究院(EHESS)という機関で研究をしています。
 
先日、パリで開催された国際農業見本市に行ってきました。
開催期間は2017年2月25日から3月5日。
 
フランスは食料自給率が100%を超える国だけあって農業が盛んです。
実際、スーパーや八百屋で買う野菜も日本に比べるとずいぶん安いようです。
 
さて、この農業見本市、フランス全土から特産物が集まるだけあって、大変な盛況ぶりです。
会場も広くて、なんでも東京ドームおよそ3倍なのだとか。
 
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子供連れの来場者も多くいます。
お目当てはこちら。
 
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馬術のプレゼンテーションもやっています。
 
そして広告ポスターにも採用されていたのが、こちらのアイドル。
 
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フィーヌちゃん ブルターニュ出身の6歳の女の子。
今年のクイーンです。
 
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額の白毛がチャームポイント
 
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一緒に記念撮影
 
私にとって印象深かったのは、フランスの海外県のブースでした。
フランスにはカリブ海の他、ヨーロッパの外にも県があって、これを海外県といいます。
 
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こんな感じで雰囲気も南国ですね。写真はタヒチ。
 
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ラム酒のブースに群がるメッシュ(ムッシュの大勢)
 
こちらの農業見本見本市、フランスにとってはかなり重要な催しであるためか、
テレビ局の取材や閣僚の訪問が相次ぎます。
政治家のフランソワ・フィヨン氏が、予定していた訪問を急遽取りやめたため、
釈明をするはめになったりとか、なかなか熱いイベントなんです。
 
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会場内で討論番組の撮影もしていました。
 
以上、フランス農業見本市レポートでした。
 
次回(次回じゃないかもしれないけど)は、ブドウの話を予定しています。
ブドウっていっても食べる方ではなく、飲む方のブドウね♪
では、あびあんとー
鈴木隆芳
経済学部 経済学科


ぼじゅー

鈴木隆芳(すずきたかよし)です.

さて,フランス語,

L'homme est un animal.

をどう訳しましょうか?

単語ごとに見ていくと

L'homme(ロム)は,「人」「男性」.

est(エ)は英語のbe動詞で,A=BABだぜ!)

という時の「=」.

un animal(アン アニマル)は「動物」.

だとすれば,訳は,

「人間は動物だぜ!」ということになりそうですが,

でも,これじゃつまらないんです.

この文が何を言おうとしているのか,いまひとつ

わからない。

hommeには,英語のmanと同じように「男」(オト

コ)という意味もあるし,animalも,単なる動物では

なくて,もっとケモノ的な感じもあるから,こんな訳

もありえます.

「オトコって,獣(けだもの)ねっ!」(by 女子一般)

うん.ありえるありえる.

さらに,このケダモノに相当するような日本語ないかなー

と考えれば,

「オトコはオオカミなのよ」(by ピンクレディー)

と,往年の流行歌の歌い出しになります.

さて,話題かわりまして,

ブラック企業とよく言われる昨今.

ブラック企業って,どんな会社かと言えば,皆さんもご存知

の通り,長時間働かせて,残業代なしで,ノルマがきつくて,

みたいなイメージだと思うのですが,こういう状態を,経済

学の文脈では,搾取(さくしゅ)という語彙で表現してきま

した.つまり,ブラック企業とは,労働者を搾取する企業で

ある,ということね.

搾取された労働者は,大酒をくらったり,妻にぐちったり,

ギャンブルにのめりこんだり,さらにひどくなると,心身と

もに深刻なダメージを負います.

これはこれで深刻な問題なのですが,

でも,搾取されるのは,人だけではないはずです.

というのも,長時間働くってことは,それだけ(余分に)モノ

を作るってことだから,そのための資材や原料も,それだけ

(余分に)使われることになります.

原料にもいろいろありますが,どれも最終的には自然に由来す

るものだから,搾取の連鎖は,地球的な環境にも悪影響を及ぼ

します.

そこでは動物も例外ではありません.

そうした連鎖は、家畜として消費される動物だけではなく,ペッ

トのような愛玩動物までもを過剰な欲望の対象にするのです。

ですから,動物について考えることは,社会や経済について考え

ることなのです.

さて本題.

922日に,本学で「犬と猫と人間と」(飯田基晴監督)の上映会

があります.わたしたちの社会のあり方と,動物の問題を扱った映

像作品です.本村光江先生のゼミでは,アニマルウェルフェアの研

究しているのですが,そうした活動の一環として,ゼミ生が中心に

なって行う企画です.是非,お越し下さい.私も行きます.

日時:922日(月)

受付開始:14:30より

上映:15:00-1700

トークセッション:17:15-18:45(杉本彩氏(あの杉本彩さんです)と細川敦史氏)

定員:映画150名、トークセッション(400名)申込不要・先着順

(状況によりご入場頂けない場合があります.)

会場:大阪経済大学大隅キャンパスD館1階 D10教室

料金:無料

問合せ:本村ゼミ 大阪経済大学地域活性化支援センター 06(6328)2431(代)

注:冒頭のエピソードは、加賀野井秀一『オール リーブル』(朝日出版)に着想を得ています。


鈴木隆芳
経済学部 経済学科

 

ぼじゅー

鈴木隆芳(すずきたかよし)です。

 

712日(土)にグランフロント大阪紀伊國屋書店にて公開ゼミをしました。

 

その模様をお送りします。

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グランフロント大阪南館6階の紀伊國屋書店!

フロアーも広く、ゆったりとした空間、スターバックスも入っていて、従来の

本屋さんのイメージとはちがいます。その一角にあるイベントスペース。

そこに一般の来場者をお招きしての公開ゼミです。

 

手前にある円テーブルの上には、ゼミで使用している教科書と関連書籍が並ん

でいます。お手にとってご覧下さい。以下に書籍のリストがあります。

http://www.kinokuniya.co.jp/c/store/Grand-Front-Osaka-Store/20140703175050.html

今回のテーマは、「グローバル化してはいけないもの」です。

ご時世にちょっとだけ逆らって、グローバル化がもたらす弊害について考えてみ

ましょう。

 

はじめのグループの題目は、

「授かるものと買うもの―———交換様式からみた教育」

鈴木ゼミお馴染み(?)の3種の交換様式(互酬・再分配・商品取引)を概説した後、

教育が商品取引されるとどんな困ったことになるかを分析します。

 

ゼミで教科書として使用している柄谷行人氏の『世界共和国へ』で示される交換様式

の考え方を応用しつつ考察を進めます。

 

教育の動機付けでは、金銭的な報酬が功を奏さないことが多くあります。

 

「学び」とは「買うもの」(商品取引)ではなく「授かるもの」(互酬)だからです。

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次のグループは、「昼の言葉と夜の言葉————コミュニケーションと個性」

 

コミュニケーションでは、わかりやすいことは良いことなのですが、その反面、そう

した表現は印象に残らず、すぐに忘れられてしまうのはなぜでしょう。

 

簡潔性や迅速性などを謳ったグローバル・スタンダードなコミュニケーションが幅を

利かせる中で、人の「個性」はどうなってしまうのか、そんなことを考えます。

 

一方、詩歌や小説などの文学的な言葉は、「わかりにくさ」や不透明性を重んじます。

結果、受け手の解釈も一人ひとりちがったものになります。

完全な正解もないけど、完全な誤解もない世界です。

それぞれのイメージや解釈が、干渉しつつも共鳴するような感じでしょうか。

 

こうした「完全には通じないもの」、すなわち、「グローバルではないもの」もコミュ

ニケーションには必要ではありませんか、というお話です。

こうしたテーマについて考えるために、歌人の穂村弘さんや俵万智さんの著書を参照し

つつ、短歌の表現の秘密に迫ります。

 

 

発表者の中には、文芸誌「ダ・ヴィンチ」で穂村弘さんが選者をつとめる「短歌くださ

い」のコーナーに自作の短歌が掲載された学生もいます。

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最後のグループは、「少子高齢化は暗澹(あんたん)たる未来なのか?」です。

 

これまでの人類の歴史を振り返ると、政治と経済の近代化、デモクラシーの進展は必ず少

子化(受胎調整)を伴ってきました。

だとすれば、少子化を、一概に悪いものとして、考えることはできないはずです。

 

こうした見方は、人類学者エマニュエル・トッド氏の著作から学んだものなのですが、

ちょうどこの時、日仏文化サミットのためトッド氏が来日しました。

せっかくですから、運命的なものを感じることにしましょう。

 

高齢化はどうでしょう。

老化には一般に否定的イメージが付随しますが、しかし、高齢者が示す、ゆったりとした、

こちらが予測できないような反応、つまり、身体反応の遅延と多様化は、実は、単なる身

体的な衰えではなく、より高度に成熟した人間的な反応を示しているのではないか、とい

う問題提起です。

これは、吉本隆明さんの『老いの超え方』や、ベルクソンの『物質と記憶』の一節から着

想を得たものです。

 

一方で、実際の老化では、身体の衰えから不自由や痛みが生じることも事実です。

 

ですから、こうした問題についてゼミ生のような若い世代がアプローチすることの難しさも

実感しました。

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そして、来場者を交えてのディスカッションです。

 

 

「少子化は、それ自体は悪いことではないかもしれませんが、とはいえ、現在の日本のよう

に、出生率の急激な落ち込みは、やはり危惧すべき事態ではありませんか?」という鋭い

ご指摘。

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ゼミ生と私で知恵を絞って考えます。

「おっしゃる通り急激な出生率の低下は看過できない問題です。その対処策について考える

ことも、もちろん大切なことです。ですが、一方で、出生率の史的推移を視野におさめれば、

非現実的な対策の危険性を察知することや、性急な判断による過ちを避けることにつながる

はずです」と、お答えしました。

 

今回は、本屋さんでゼミナールをするという、どうなるかわからない試みでした。

 

取材に来て下さった朝日新聞の記者さんからは、本屋で大学の授業をやることの意義につい

て訊かれました。

 

本屋は、未知の本と偶然に出会える場所です。

「あっ、こんな本あったんだー」と、おもいがけない出逢いがあります。

 

ネット書店のように「あんたはこれが読みたいんだろ!」と、押し付けてくることもありま

せん。

 

おもいがけない出逢いを通して、一見、関係のなく見えるものが、つながること、これは私

たちのゼミがいつも大切にしていることです。

 

そんな、ゼミの理念を体現しているのが、本屋さんです。

 

紀伊國屋のスタッフの方々には、大変にお世話になりました。

おかげさまで貴重な学びの機会を得ることができました。ありがとうございます。

 

入念に準備をしたつもりでしたが、私たちには至らない点も多くありました。

しっかり反省をしつつ、今後の活動に活かしてゆきたいと思っています。

 

今回の公開ゼミの企画を、「面白そうだ」と励まして下さった紀伊國屋の才田さんのおかげで、

このイベントは実現できました。改めてお礼を申し上げます。

 

最後になりましたが、才田さん!

「次回もやりましょう」とおっしゃって下さいましたね。

そのお言葉を信じてこれからも励みます。

また、是非、お願いします!

 

 

鈴木隆芳
経済学部 経済学科

 

ぼじゅ♪

鈴木隆芳(すずきたかよし)です。

 

間際になっての告知、一刻を争う告知、

これすなわち刻知なり。

わおー

 

2014 712(土)15時より、グランフロント

大阪紀伊國屋書店イベントスペースで、公開

鈴木ゼミをします。学生発表3本と来場者を

交えての質疑応答を行います。

 

テーマは、「グローバル化してはいけないもの」です!

時流に抗います!

 

こちらをご覧になると、案内とゼミ生との写真があります。

http://www.kinokuniya.co.jp/c/store/Grand-Front-Osaka-Store/20140703175050.html

 

 

 


以下に学生のグループ発表の要旨をサイトより引用します。

(引用はじめ)

1.授かるものと買うもの交換様式から見た教育

 テレビ、パソコン、冷蔵庫などは、自ら購入しようが、他

人から譲渡されようが、同じように使用することができます。

一方、教育や道徳といったものは、どのように手に入れたか

によって価値が異なってきます。商品取引という考え方がグ

ローバル化する中で、授かるのか、買うのか、すなわち、交

換様式によって質の変わるものについて考察を試みます。

 


 

 

2.昼の言葉と夜の言葉コミュニケーションと個性

 言語はコミュニケーションの道具であると一般には言われま

す。しかし、「わかりやすいこと」をただひたすらに求めると、

「なにも伝わらない」ということが生じます。言語のグローバ

ルな価値と、それを発する人の個性はどのように折り合うので

しょうか。この発表では、詩歌の言葉が放つ不透明性や曖昧さ

が、実は、私たちの社会的な生を支えている、ということを示

したいと思います。


3.少子高齢化は、暗澹たる未来なのか?

 歴史を長期的なスパンで展望すると、少子化・識字率の向上・

デモクラシーの進展は、ほぼ例外なく、歩調を合わせて進展し

ています。もしかしたら、少子化は私たち人類が望んでいたこ

となのかもしれません。ですが、現状では、少子化からイメー

ジされるのは、老齢者の溢れる不活性化した社会でしかありま

せん。少子化と高齢化について、多様な角度から検討を行うこ

とで、この発表が、こうした既成概念について考え直す一助に

なれば良いと願っております。

(引用おわり)

 

七夕パーティで演奏をしました。

恋するフォーチューンクッキーのジャズ風です。

こちらは、もう終わってしまったので、告遅だね。


わおー

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鈴木隆芳
経済学部 経済学科