ぼじゅー
鈴木です。
フランス中部ロワール河流域のトゥールTours市から電車で1時間弱、シノンChinonの町を訪れました。
 
ここシノンには、かつて英仏百年戦争の頃、ジャンヌ・ダルクが後のフランス王になる
王太子シャルル7世に謁見したエピソードで有名なシノン城があります。
城とはいっても、どちらかというと砦や要塞に近い外観で、観光ガイドにも
「要塞」forteresseと表記がありました。
 
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歴史を感じますね。
古城感が本気です。
 
このお城の前に、もうひとつシャトー(≒城)を訪れたのですが、
こちらはシャトー・ド・ラ・グリーユChâteau de la Grilleというブドウ畑を所有するシャトー。
 
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こちらではブドウ畑と醸造設備を見せてもらいました。
畑を歩きながら生産者のカトリーヌさんから説明をうかがいます。
この日は他に訪問者もなく私たちだけのためのレクチャーです。
 
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太い台木から細い枝が1本出ているのがわかりますか?
もう芽が出ていますね。
 
それにしても、なんでこんな慎ましい感じの枝なのかと思いませんか。
もっとたくさん枝を生やした方が収穫量も上がるのに、って。
 
栽培や醸造方法については細かい規定があって、ここでも政令によって
枝1本あたりの芽の数の上限が決まっています。
ブドウは剪定(せんてい)を施して、生育を管理すると実の質が良くなるからなんですね。
 
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ブドウの病害虫の説明。
ブドウにはさまざまな病害虫があって、それらとの戦いにも長い歴史があります。
 
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地下の醸造所での醸造方法についての説明。
政令によって義務づけられていることと、生産者の裁量に任されていることの区分や、
ステンレスタンクと木樽の使用比率など実践的なお話をうかがいました。
 
いろいろと質問しながらお話をうかがっていたところ
「ワインの仕事をしていますか?」とたずねられました。
「光栄です、マダム」
 
最後はカトリーヌさんも一緒に試飲です。
試飲は実際に飲むわけではなく、色、香り、味をチェックした後、吐器に吐きます。
 
醸造方法による出来のちがいが問われます。
それを生産者の目の前で述べるわけですから、なかなか緊張します。
8種をその場で開けてくれました。
実は、私、(一社)日本ソムリエ協会ワイン・エキスパートの資格を持っていまして、
試飲には多少の心得があるのですが、それでも、これほど緊張する試飲はめったにありません。
 
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ここロワール地方では20%前後が輸出されるとあって、シャンパーニュ、ボルドー、
ブルゴーニュといった名だたる銘醸地(めいじょうち)に比べると
国内で消費される比率が多いと言えるでしょう。
とはいえ、おおむねフランスのワインは、早い時期から世界商品として
グローバリゼーションの競合に曝されてきました。
オランダやイギリスといった、その時々で勢力を誇った国を主な輸出国にすることで、
フランスの経済に貢献してきました。
覇権国家とワインの経済史を調べてみるのも面白そうです。
 
フランスワインが高い商品価値を誇るのは、産地ごとの個性を重んじる
政府の方針があるからだと言えるでしょう。
こうした土地が持つ特性を総称してフランス語ではテロワールterroirという語彙で言い表します。
一方で、アメリカやオーストラリアなどの新興国は、主にブドウの品種特性と
近代的な醸造方法や設備でフランスに対抗しました。
現在ではこうした双方の強みをお互いが共有するようになっていますが、
かつて、この二つが対決したことがあります。
「どっちが本当は美味しいのか?」ってなったんですね。
 
フランスワインVSカリフォルニアワイン
アメリカ建国200年を記念して、1976年に対決が実現しました。
さあ結果はいかに......!?
映画にもなっていてDVDがあります。
『ボトル・ドリーム カリフォルニアワインの奇跡』
ネタバレなタイトルで残念!!(笑)
 
父と子の確執と和解、ヒロインとのけんかと仲直り、挫折からの成功など、
映画っぽい脚色が施されていますが、それでも「頑張れー」と応援したい気持ちになります。
こちらは、前回『ラマン/愛人』とちがって、だれと観ても安心。
鈴木隆芳
経済学部 経済学科
鈴木です。
 
私の住んでいるパリ14区には、モンパルナス墓地という広い墓地があります。
 
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ここモンパルナス墓地には、多くの著名人が埋葬されていて、案内所にはその場所が記された
お墓マップなるものが置かれています。
 
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手前M.D.というイニシャル、こちらは作家や映画監督でもあるマルグリット・デュラス(1914-1996)。
本名もイニシャルにするとDになるようです。
どっちかな?
作家であった彼女には、多くのペンが供えられています。
映画化された『愛人/ラマン』は日本でも話題になりました。
ちゃんとした映画ですが、見るときは一人で見たほうがいいかなー
 
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こちらはセルジュ・ゲンズブール(1928-1991)。
キャベツやメトロのチケット、これらも彼の作品とゆかりがあります。
 
私のやっている「フランス語圏文化論」という授業では、フランスのポップ・ミュージックを
扱うコーナーがあるのですが、そこで私は彼の歌を歌ったことがあります。
ゲンズブールさんは声が低いので、私でも無理なく歌えます。
 
そして、今回はじめて気付いたのが、こちら
 
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ジャンポール・サルトルとシモーヌ・ド・ボーヴォワールのお墓。
墓石のところどころに「赤い何か」が見えませんか?
アップにしてみましょう。
 
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わかりました?
 
・・・・・・キス・マークですね!!
 
実存主義哲学者のサルトルと、『第二の性』のボーヴォワールは、正式な結婚こそしなかったものの、
生涯を通じて二人は寄り添いました。
そんなラブリーなエピソードが偲ばれます。
 
ところで、こうしてお墓を訪ね歩いていると、なにか故人が語りかけてくるような気がしてきます。
「さあ、君はどう生きるの?」ってね。
 
さてさて・・・・・・
 
「まだまだこちらに未練があるので、もうしばらくそちらでお待ち下さい。」
鈴木隆芳
経済学部 経済学科